記事:ゴック・アイン 2022年12月1日|午後3時23分(PT)
W杯はお金を稼ぐチャンスでありながら、割引セールや労働時間の短縮など、カタール在住のベトナム人にとっては千載一遇の機会である。
11月20日に大会が開幕して以来、主婦をしていたガーさんは多忙なツアーガイドに転身した。
彼女は1日15時間働き、その仕事が大変なこは承知の上で、「退屈な」日常生活に冒険を与えてくれたので満足しているという。
そして彼女は、生活を一変させたというその機会で、家族のために臨時収入を得ている。
ガーさんは「多くのサッカーファンや観光客がカタールに来ています。現地在住でツアーガイドになりたい人を対象に無料の講習会が開かれていました。」と述べた。
この仕事は彼女にとって楽な仕事だが、体力的にはきついという。
「ある時には深夜に観光客を迎えに行き、帰宅すると午前3時半で、また午前8時半から深夜まで働きます。」
「2時間しか寝られない日もあります。」「でも難しい仕事だとは思っていません」と彼女は続けた。
ガーさんは、W杯開催中にお金を稼ぐためにカタールで働く移民労働者のうちの1人である。
カタール在住のアンさんは、W杯が開催される前にベトナムレストランでの新しい仕事を見つけていた。彼によると、現在は混みすぎているため、定期的に客に入店を断っているという。
アンさんは、120〜150万人の観光客がW杯を観戦するためにカタールを訪れると推測する。その数はカタールの人口の半分に相当する。
そして、地球上で最大のスポーツの祭典に向けて、カタールが世界中から3万人以上の移民労働者を雇う必要があった。その中には、巨大な5つ星スタジアムを建設するために雇われた数百人のベトナム人が含まれている。
カタールで働くベトナム人の一般的な月給はおよそ1,800〜2,800カタールリアル(≒ 66,000円〜100,000円)である。責任者や現場監督になると、月額4,000カタールリアル(≒ 148,000円)またはそれ以上もらうことができる。
ガーさんやアンさんのように副収入を得る機会がないにもかかわらず、カタール在住の他の多くのベトナム人たちは、W杯開催中のみに存在するあらゆる特典を楽しんでいる。
アンさんの夫は会社員で、給料はそのままで就業時間が短くなったという。通常では8時間働くところ、午前の4時間だけ働き、午後からはW杯を観戦するために休みになるという。
「政府は、ラッシュの時間帯の道路の混雑を避けるため、国有企業の従業員の就業時間を減らしています。」
「政府は、労働者が通常通りの時間で働けば、午後4時から始まる多くの試合の時間帯に交通渋滞が起きることを懸念しています。そのため大会開催中は、同じ給料で、午前11時まで働けばいいのです」と彼は述べた。
優待価格
アメリカの経済雑誌フォーブスによると、グループステージの観戦チケット価格は70〜220ドル(≒ 9450〜29,700円)、決勝トーナメントのチケット価格は600〜1,600ドル(≒ 81,000〜216,000円)であるという。多くの人たちは、チケットやホテルを予約するために何か月も何年も節約して過ごさなければならなかった。
しかし、現地在住のロンさんによると、カタールに住んでいるベトナム人は、他のカタール人と比べて通常の4分の1の価格で観戦チケットを購入することができるという。
彼は「妻と子どもたちと試合を観戦するため、1か月の休みを取りました」と話した。
カタール在住のおかげで、ロンさんの4人家族は、10試合分の観戦チケットを総額1億ドン(≒ 540,000円)以下で購入できたという。それは彼の月収の半分に相当する。
現地在住のベトナム人によると、これほど道が賑やかになったことはないという。
「道のあちらこちらで観光客や顔にペイントをしたサポーターがいて、代表チームのユニフォームを着て歓喜に溢れています。」「それは最高に楽しいです」とアンさんは話した。
アンさんの内縁であるクアンさんにとって、このイスラム教の国で住み、働いてきた10年間のなかで最高の時だという。
「カタールではこれまで酒類の販売は禁止されてきましたが、W杯に向けて販売を行なっています。」「10か所のファンゾーンが設けられています(飲酒が認められている場所)」と彼は嬉しそうに語った。
ガーさんは、彼女の母国から来た多くの人々の気持ちに共感し、「このW杯開催期間中に働く機会をもらい、カタールに住めたことを非常にラッキーで、幸せを感じています」と話した。
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【翻訳編集】Hải Tình
原文: