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【翻訳記事】ベトナム 米メディアに圧力か

記事:ポール・ファリ 2022年11月15日 AM7:00 (EST)

 

ベトナムのファン・ミン・チン首相の外交舞台で、相応しくない発言がマイクにキャッチされて拡散された。それは不幸にも、米国政府系のメディアが大使館からの苦情を受けて削除する前であった。

 

カンボジアプノンペンで開かれたASEAN首脳会議で対面したベトナムのファン・ミン・チン首相とバイデン米大統領 (キス・セレイ/EPA-EFE/シャッターストック)

 

ベトナム首相は、今年の春にワシントンでアントニー・ブリンケン米国務長官と会談するために待機している間、外交の場として相応しくない発言をしていた。

 

国務省ライブ配信で拾われた軽率な発言のなかで代表団は、ロシアのウクライナ侵攻を非難する声明を求めるアメリカの要求に対する抵抗を誇らしげに話合っていた。一人の高官は「突っぱねてやる」と発言し、笑いが起きた。おそらく最も衝撃的なのは、チン首相が、ホワイトハウスの夕食会の場で、バイデン大統領や米政府高官と行われた直前の会合について、繰り返し粗野な言葉を使って表現したことだ。

 

その発言はすぐに、ボイス・オブ・アメリカVOA)のベトナム語版サービスによって公開されたニュースの記事になった。ベトナムの慎重に管理された表舞台における、指導者たちのこのまれな不適切発言はベトナム国内外に拡散された。

 

削除された記事。

 

VOAは、同社のウェブサイトやフェイスブック、ユーチューブ上などで記事が突然閲覧できなくなったことや、何が起きたのかについて公に説明を行っていない。同社のウェブサイト上には、削除された動画の代わりに、ベトナム語で、調査により閲覧できなくなったとの通知が表示されている。

 

実際、ワシントンポストが入手した電子メールによると、ワシントンのベトナム大使館の職員が、流出動画はチン首相のプライバシーを侵害したと訴えたあと、VOAが今回の措置を講じたことが示されている。大使館の広報兼文化担当官であるカイン・グェン氏は、5月20日VOAに送られたメールのなかで、映像の公開は国務省による「誤り」だったと述べている。

 

「会話には特別な意図は何も含まれていない。」グェン氏は「本人の自覚や認識および同意なしに個人の情報を広める行為は、プライバシーの尊重の原則、報道の専門性と倫理に反するため容認できない。さらに、VOAの報道は、政治的な目的のために乱用され、歪められてきた」と、VOAのヨランダ・ロペス局長代理にメールを送り、記事の削除を求めた。

 

VOAは、グェン氏からのメールを受け取った3日後に動画を削除した。

 

この決定は、その後まもなく行われた編集長との会議で削除に反対したが何も説明はなく、VOSのベトナム語版サービスの記者たちを混乱させた。

 

不満を抱いたある従業員は、その決定は組織の価値と使命に対する裏切り行為だと述べた。報復を避けるために匿名で答えてくれたあるスタッフは「報道機関としての、私たちの評判に悪影響を与える」と口にした。

 

1942年に、戦時中のプロパガンダに対抗するため、連邦法によって設立されたVOAにとって、外国政府からの圧力の表れは特にデリケートな問題である。それ以来、VOAは政府が資金を提供する独立した報道機関に発展し、48の言語で放送と報道をおこなっている。通常は、政府がメディアを制限している国向けにニュースを提供している。また、イランやソマリアコンゴやエジプトでの最近の取り締まりなど、他の国での報道検閲の事例も記録している。

 

この問題に関するVOAの当初の見解のなかで、ブリジット・セルチャック氏は月曜日、動画を削除したのはベトナムの圧力によるものではなく、政府高官の発言が「不適切」で、組織の基準に反していたからであると説明した。彼女は、使用されている言葉を「FCC連邦通信委員会)が不適切とみなしている言葉」と比較したが、一部のベトナム語話者にとってこの発言は、単に品を欠くだけで、そこまで攻撃的なものではないと示唆している。

 

VOAと姉妹報道機関のラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)もまた、国務省提供の映像を使って、同社の英語とベトナム語版両方のウェブサイト上で報じた。この記事はオンライン上に残っている。ロヒット・マハジャン氏によると、同社は映像の削除要請を受け取っていないという。

 

同じ日に、大使館はビデオについて正式に抗議した、VOAの報道編集者のスティーブ・スプリンガー氏は、問題発言には気づいておらず、記事を投稿する前にVOAは「攻撃的な言葉を削除する」ことを推奨していただろうとスタッフに宛ててメールを送った。

 

その代わりに、彼はそれを完全に削除することを提示した。「今回の記事は、1週間前のもの」「それはすでに読まれ、見られている」と書き記した。

 

カメラがその会話を撮影していたことをベトナム代表団は知らなかったかもしれないが、それでもなお、国務省ライブ配信は公開記録の一部であり、報道機関はそれを自由に使用することができることを意味している。スプリンガー氏はメールで、その動画を使用することを禁じる国務省からの指示に気づいていなかったと、そのことを認めた。

 

しかし、「他国政府がVOAに対して編集方針や決定を指示することはできないということを思い出させるものである」と付け加えた。同氏にコメントを求めたが応じられなかった。

 

【翻訳編集】Hải Tình

 

原文:

www.washingtonpost.com