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【翻訳記事】ベトナム 韓国での仕事を求めて足を引っ張り合う労働者

記事:キム・ガン 2022年10月2日|午後5時2分(PT)

ハノイで開かれた韓国での就職説明会に参加するベトナム人労働者=2022年7月21日(写真:VnExpress/ホン・チェウ)

 

中北部のハティン省カムスエン県に住むハイさんとハノイに住むタンさんには、韓国で働くという共通の夢がある。

 

しかし、タンさんはハイさんを犠牲にしてまで自分の夢を果たそうとしている。

 

ハイさんは、韓国政府が彼の故郷であるカムスエン県からの入国禁止措置を解除することを心待ちにしている。

 

カムスエン県は、そこに住む人たちが2022年末まで韓国への入国が禁止されているベトナムの8つの対象地域のうちの一つである。

 

対象の地域からの多くの人が不法に働いていることが明らかになったあと、ソウルはすぐに禁止措置を発令した。

 

ベトナムからの多くの労働者が、ビザなしまたは契約期間が切れたあとも韓国に不法滞在している。

 

ハイさんは5年間、合法的なルートで韓国での仕事を得ようとしてきた。

 

彼は約5万6000円を投資し、意欲的に韓国語を勉強するために多大な努力を払ってきおり、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省の下で、韓国で現地の求職者と仕事をマッチングさせるE9プログラムに複数回申請するための一連の書類を完成させた。

 

このプログラムは、韓国と他国との間のより大きな労働力輸出のプログラムの一部で、製造業や農業、建設や漁業などの主に4つの業種で、外国人労働者が非熟練労働者を対象にした非専門就業ビザ(E9)を申請できるようにするものである。

 

「内定した候補者は韓国語や実技試験に合格し、雇用主に受け入れられ、韓国の文化学習、契約書にサイン、ビザを取得をします」と、E9ビザ取得の骨の折れるようなプロセスについて話してくれた。

 

E9ビザのもとでは、ベトナム労働局は労働者に対して高い給料や保険、休暇やさらには航空券などの完全な福利厚生を備えた好条件の職を探すことを保証していると彼はいう。

 

そのため、彼は30km離れた語学学校に2か月間通い、韓国語の語彙と文法の基本を理解するために一生懸命勉強に励み、勉強したことを忘れないように酒を控えるなど、常に努力を重ねてきた。

 

しかし、カムスエン県からのすべての申請が無期限に保留されていることを知らされて以来、彼の今までの努力は再び無駄になった。

 

「あまりにも不公平すぎる」と彼は嘆いた。

 

海外への裏道就職

 

この窮状にあるのはハイさんだけではない。

 

過去10年以上もの間、ベトナムからの不法移民は着実に増加しており、同国にとって2番目に大きな労働市場である韓国は、ベトナム人労働者の受け入れを度々拒否している。

 

韓国で働くためのトレーニングコースに参加するクアンビン省の労働者グループ。(写真:VnExpress/Th.H)

 

実例として、2013年から2016年にかけて韓国当局はベトナムの特定地域からの申請を拒否しており、4万人の希望者が宙に浮いている状態である。

 

彼らは韓国語のテストをすべて合格したが、受け入れ拒否により彼らの求人応募はふるいに落とされた。

 

その時もハイさんに影響が及んだ。悪評がついた彼の故郷ハティン省のキーアン県とカムスエン県の2つの地区はブラックリストに入っている。

 

「その時は頭が痛かった」と彼は振り返った。

 

この危機にうまく対処するため、彼はマレーシアでの仕事を探してそこで1年間住み、ベトナムに戻ってからは韓国で稼げるはずの10分の1の賃金でフリーランンスとして働いた。

 

労働省によると、ベトナム人労働者が韓国で不法に仕事を求めている主な理由は、韓国での賃金はベトナムの7〜10倍高く大きな賃金差があるからであるという。

 

韓国が海外から労働者を受け入れている15か国のうち、ベトナムは合法労働者と不法労働者の両方が最も多い国である。

 

他の国からの受け入れが平均15〜17%であるのに対し、ベトナムからの総数は32%を占めている。

 

ハティン省以外にも、ゲアン省タインホア省ハイズオン省ハノイなどを含む不法就労者の数が多数いる他の省や地域もある。

 

なんとしてでも行きたい

 

タンさんは違法な手段を使ってでも韓国で働きたいと考えており、これがハイさんのような他の労働者に影響を与え、彼自身も逮捕され国外追放される可能性があることを十分に理解している。

 

競争が激しすぎたことにより、彼は韓国の仕事に3年近く応募したが無駄になった。溶接工としての技術を習得した後に、観光ビザで韓国に入国して違法に仕事を探すためにブローカーに約160万円を払うことにしたという。

 

韓国の観光ビザを取得するのに15日しか要しないため、観光ビザの悪用は今ではベトナム人が違法に移住する一般的なやり方だと彼はいう。

 

「現地に到着すると、誰かが空港まで迎えに来てくれ、空港までの送迎と職探しを手伝ってくれます。」

 

ブローカーが要求する金額が大きすぎるため彼らを信頼できると考えている。

 

韓国の高い賃金がやる気につながり、建設業での給料は約57万円を超える可能性があるという。

 

逮捕されるリスクについては、不法就労者が単に働いて家に帰り、辺りをぶらぶらするのを避ければ悪いことは何も起こらないと彼は考えいる。

 

しかし実際は、行動の自由が無くなるだけでなく、法的保護も失うためそれほど単純ではないかもしれない。彼らが雇用主に搾取されたとしても、当局に訴えることもできない。

 

病気を患った時でさえ、彼らは病院に行くことができない。

 

そして、もし彼らが逮捕されて国外退去を命じられると約1万〜1万4000円の罰金が科され、帰国後2〜5年間は再び海外での就労が禁じられている。

 

タンさんのような労働者は長年にわたり、ベトナム当局を悩ます種をもたらしてきた。

 

ベトナム海外労働局のグェン・ギア・リエム副局長は、不法就労者は多くの若者の機会を奪い、国際労働市場ベトナムの多くの地域や国全体の評判を傷つけていると述べた。

 

ベトナムと韓国の当局は、外国人労働者雇用契約の違反や、ビザの期限を超えて不法滞在したりしないよう一定額をエスクローに預け入れることを求めるなど解決策を講じようと試みている。

 

韓国当局はまた、不法就労者を逮捕することはせず、母国に帰国するよう促している。

 

これらの取り組みにより犯罪が減少した。2016年以前には50の省がブラックリストに入っていたが、今年までに8省だけになった。

 

クアンビン省労働・傷病兵・社会問題局のディン・チー・ゴック副局長は、直前の禁止措置により同省からの55人が出発間もなくして出国を止められたことを受け、地元当局者は地方自治体の役人や不法就労者の家族らと対面し、彼らに帰宅するようを促したという。

 

その見返りに、当局は語学とキャリアオリエンテーションコースのための費用をそれぞれに約4万5000円を負担し、ベトナムまたは他の国で新しい仕事を探す支援をすることを約束した。

 

その間、韓国で自分の条件にマッチした仕事に就けるのを待っている数万人のベトナム人労働者にとって、競争は非常に厳しいものです。

 

そうなれば、ハイさんの夢はあと数年かかるかもしれない。

 

【翻訳編集】Hải Tình

 

原文:

e.vnexpress.net